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脂肪吸着でメタボ対策に古くて新しいシルク

シルクには10万以上の種類があり、風合いや色など、皆微妙に違います。
ある種のシルクは麻のように見えますが、触るとやはり柔らかい。また、太さや色も千差万別で金色に輝く繭まで存在します。カイコシルクに比べ非常に軽いものもあります。


シルクにはどのような機能性があるのでしょうか。シルクは「繊維の女王」ということで、カイコ研究大国である日本は、いかにカイコからたくさんの糸をとるか、いかに良い繊維にするか、という研究に二極化して国家予算が投入されてきました。肝心なシルクの機能性にあまり触れることはなかったのです。


実は、シルクは大豆などと同様に高純度のタンパク質からできています。この極めて小さいシルクタンパク粒子が複雑に絡み合い、糸になっているのです。


この点に注目して調べてみると、シルクタンパク質には、
1:生体親和性(アレルギーを起こしにくい)
2:細胞の増殖がスムーズに行われる
3:死亡を吸着する
などの機能特性があることがわかりました。手術用の糸にもシルクが使われています。

カイコシルクが、UV―Bというガンを引き起こす紫外線を遮へいすることは知られていますが、さらに驚くべきことは、タサールシルクなどのあるグループの作り出すシルクは、UV―Bだけでなく、皮膚の老化、日焼けを引き起こすUV−Aまでも遮へいすることも分かったのです。虫たちは繭の中で幼虫時代の組織から成虫の組織に入れ替えをします。

ある時期の蛹の中はドロドロです。紫外線の強いところではそういった繭の機能が必要だったのでしょう。


このようなシルクタンパク質の機能性から、さまざまなものづくりを連想できたと思います。UVカット、生体親和性、無味無臭、制菌性等の機能をベースにした美容液が既に販売されています。その美容液は群馬県の農家と提携して作られ、防腐剤も一切含まないシルクと水だけの、口に入れても問題のない食品のようなものです。

また、シルクは消化されにくいタンパク質(レジスタントプロテイン)ですので、栄養にはなりません。また、仮に消化せれたとしてもグリシン、アラニン、セリンが圧倒的に多く、私たちに必須であるアミノ酸は極めてわずかです。


この消化しにくい性質と脂肪吸着性をベースに、話題の「メタボ」対策を応援するアイテムが昨年販売されました。


これを医師に依頼し、200人規模の臨床試験を実施した結果、ラットを使った試験とよく似た結果、すなわち、中性脂肪値や血糖値などの数値改善に有意な結果が得られたのです。また、シルクタンパク質は、食品の腐敗を遅らせたり、食感を変える機能もあります。

例えば、せんべいを混ぜるとふっくらし、シフォンケーキに入れるとやわらかさが特段に持続するものができます。


こういった食品の開発が福井県や群馬県の企業で始まっています。特に群馬県では、富岡製糸工場の世界遺産申請に絡み、地元には「シルクタンパク質研究会」なるものが設立され、地元の食品に富岡シルクから使ったシルクタンパク質を加えた「オンリーワン食品」が誕生しつつあるのです。

「シルクが食品に」、それはシルクプロテインの機能性が明らかになったこと、加工技術の進歩、そして「非繊維利用」という新しい概念から生まれたものなのです。

しかも、繊維として利用しないなら、これまで良質ないとにできなかった形の悪い繭や、繊維にならない糸くずなどもこれに利用できるのです。


カイコは農薬のついた桑の葉は食べません。食べたらシルクは吐けないのです。

こんなデリケートなカイコからのシルクはもちろん安全なのです。

東京農業大学農学部記事より引用